経理実務 棚卸資産勘定

経理業務を行っていると、「棚卸資産勘定」という言葉が頻繁に出てきます。
聞き慣れてはいるものの、
「何となく処理している」
「毎年同じようにやっている」
という方も多いのではないでしょうか。
棚卸資産勘定は、経理実務の中でも、利益や税額に直接影響する重要な勘定です。
基本的な考え方を押さえておくことで、処理の意味が分かり、判断に迷いにくくなります。
棚卸資産とは何か
棚卸資産とは、販売を目的として保有している資産で、まだ売れていないものをいいます。
たとえば、次のようなものです。
- 店舗や倉庫にある商品
- 製造途中の製品
- 完成後に販売予定の不動産
業種によって勘定科目の名称は異なります。
- 販売業:商品
- 製造業:原材料/仕掛品/製品
- 建築業:仕掛工事
- 不動産業:棚卸不動産
名称は違っても、将来、売上になる予定のモノという点は共通しています。
棚卸資産勘定は貸借対照表に計上されます
棚卸資産は、会社の財産として貸借対照表(B/S)に計上されます。
これは、「決算日時点で会社が何を保有しているか」を示すためです。
経理実務では、棚卸資産の金額が正しいかどうかが、会社の財務状況を正しく表しているかどうかに直結します。
損益計算書における棚卸資産勘定の役割
棚卸資産勘定は、損益計算書(P/L)にも大きく関係します。
販売業を例にすると、売上原価は次の考え方で計算されます。
期首の商品在庫
+ 当期の商品仕入
- 期末の商品在庫
= 売上原価
この計算は、売れた分だけを経費にするという考え方に基づいています。
売れていない商品まで経費にしてしまうと、利益が実態より少なく表示されてしまいます。
在庫処分を行った場合の経理処理(仕訳例)
棚卸資産は、必ずしもすべてが売れるとは限りません。
経理実務では、売れ残りや不良在庫を廃棄処分するケースも出てきます。
ここでは、仕訳の流れを具体例で確認してみましょう。
例:決算時の在庫処分
- 決算時の棚卸資産:1,000
- そのうち売れそうにない在庫:200(廃棄)
① まず、期末の棚卸を行います
決算時点で、在庫全体をいったん確定させます。
(商品)1,000 /(期末商品棚卸)1,000
この時点では、在庫が1,000あるという事実を貸借対照表に反映させています。
② 次に、廃棄した在庫を処理します
売れずに処分した200については、損失として経費に計上します。
(棚卸廃棄損)200 /(商品)200
この仕訳によって、次の状態が数字で分かるようになります。
- 在庫は 1,000 − 200 = 800
- 廃棄した200は「損失」として計上
よくある誤りと注意点
「廃棄したのだから、最初から在庫を800として処理すればいいのでは?」
このように、次の仕訳をしてしまうケースがあります。
(商品)800 /(期末商品棚卸)800
この処理でも、最終的な利益の金額は同じになることがあります。
しかし、この方法では在庫を廃棄した事実が会計上分かりません。
経理実務では、「結果が合っている」だけでなく、何が起きたのかが数字で分かることが重要です。
在庫処分があったのであれば、それはきちんと「棚卸廃棄損」として表現する必要があります。
まとめ
棚卸資産勘定は、経理実務において非常に重要な勘定科目です。
- 在庫の実態を正しく伝える
- 利益を適正に計算する
- 税務上の説明ができる数字を作る
そのためには、仕訳の結果だけでなく、処理の意味を理解することが大切です。
会計が苦手な方でも、
「在庫=まだ売れていない、売る予定のモノ」
という基本を押さえ、処分した場合は必ず経費として分けて処理する。
これだけ意識しておけば、棚卸資産勘定で大きく迷うことはありません。
お困りの際はご相談ください
棚卸資産勘定は、
「毎年なんとなく同じ処理をしている」
「これで合っているのか分からない」
という状態になりやすい分野です。
在庫の評価や処分の処理を誤ると、
本来払わなくてよい税金が発生したり、
経営判断を誤る原因になることもあります。
当事務所では、
・棚卸資産の考え方の整理
・実務に即した経理処理の確認
・税務上のリスクチェック
など、状況に応じたサポートを行っています。
「ちょっと聞いてみたい」
「今の処理で問題がないか確認したい」
そのようなご相談でも構いません。
経理や税務で不安な点がありましたら、
お気軽にご相談ください。





