【役員報酬・賞与】役員報酬と賞与を決める前に知っておきたいこと

経営者どうしの飲み会やSNS、知り合いの税理士の話。
役員報酬や賞与の話題になると、なぜか耳障りのいい噂だけが独り歩きしがちです。
「賞与で税金を調整できるらしい」
「役員報酬は必要に応じて変えられる」
「賞与のほうが税金的にお得だ」
これらは、半分は正しく、半分は危険です。
そして厄介なのは、この誤解が税金だけでなく、
社会保険・資金繰り・銀行評価・個人の信用力
にまで影響する点です。
本コラムでは、よくある誤解の裏側と、
社長と会社の両方を守るための報酬設計の考え方を整理します。
■1.役員報酬は期中で変えた瞬間からリスクが生じる
「業績に合わせて柔軟に変えてよい」と考える方は多いですが、
税務上のルールは異なります。
- 役員報酬は期中変更が原則不可
- 期中で増減すると、変更後の金額が損金にならない可能性
- 結果として法人税が増えるケースもある
特に注意したいのが、資金繰りとの関係です。
役員報酬は、会社が社長に対して負っている債務です。
一時的に支払えなかった場合、その金額は未払役員報酬として負債計上されます。
この未払役員報酬は銀行評価にも影響し、
資金繰りをさらに悪化させる要因となります。
■2.役員賞与は届出がなければ損金にならない
「賞与で法人税を減らせる」という話は、
正確には半分だけ正解です。
役員賞与は、事前確定届出給与の提出がなければ、
全額が損金不算入となります。
- 届出期限は期首から4か月以内
- 内容の変更は不可
- 期限を1日でも過ぎると全額が対象外
噂話だけを信じて賞与を支給すると、
税務上は「払っただけ損」になる可能性があります。
■3.賞与にも社会保険料はかかる
見落とされがちですが、賞与にも社会保険料は発生します。
月額報酬は標準報酬月額(等級制)で計算されますが、
賞与は支給額そのものに保険料率を掛けて計算されます。
その結果、
「法人税は減らず、社会保険料だけが増えた」
というケースも少なくありません。
社会保険料は、実質的に第二の税金とも言える存在です。
■4.役員報酬を下げすぎると個人の信用力に影響する
節税を目的に役員報酬を低く設定しすぎると、
個人の信用力に影響が出ます。
住宅ローンや各種ローン、クレジットカード、賃貸契約などは、
役員報酬という給与所得をもとに審査されます。
税金は減ったものの、
人生の大きな選択肢が狭まるのであれば、本末転倒です。
■5.重要なのはバランスと設計
役員報酬、賞与、社会保険、信用力。
これらはすべて相互に影響し合う要素です。
税金だけを見て判断すると、
思わぬところで歪みが生じます。
報酬設計は、金額を当てる作業ではなく、
社長と会社の将来を見据えた設計です。
■6.まとめ
耳で聞いた話は、
正しい部分と落とし穴が混在しています。
役員報酬や賞与は、
税金・社会保険・資金繰り・信用力を総合して考えることが重要です。
現状に少しでも不安や違和感があれば、
早めに専門家へ相談することが、結果的に最も安全な選択となります。





