税務関係書類における押印義務の見直し
前回に引き続き、令和3年度税制改正大網についてです。
今回は「税務関係書類における押印義務の見直し」についてお話したいと思います
押印義務においてはこれまで国税通則法124条第2項の規定において、押印の義務を求める定めがありました。
しかし今回の税制改正の中に、デジタル社会の実現と言うことで、税務関係書類における押印義務の見直しに係る方針が示されました。これにより、税務関係書類の押印が次のように見直されます。
以下令和3年度税制改正大網より抜粋
(国税)
提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととするほか、所要の措置を講ずる。
(1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
(注1)国税犯則調査手続における質問調書等への押印については、刑事訴訟手続に準じた取扱いとする。
(注2)上記の改正は、令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する。
(注3)上記の改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする。
押印不要の対象には、所得税の確定申告や法人税の確定申告書、消費税申告書をはじめとして各種届出書も該当しますので、税務シーンに大きな影響を及ぼすのではないでしょうか。
また、改正は「令和3年4月1日以降に提出する税務関係書類について適用する」とありますが、注意書きには「押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする」とされていますので、令和2年分の所得税確定申告の書類に押印がなくても提出が可能となるのです。これにより例年に比べると確定申告の手続きが楽になるのではないでしょうか。
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2月18日 竹下貴斗